初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
「気鬱の病の原因は様々だと、聞いております
 環境の変化や人間関係等、外的要因から睡眠不足、食欲不振……
 煎じ薬で効果があったのなら、睡眠不足の改善ではないでしょうか」

「確かに睡眠は大事ね
 けれど、それだけで気鬱が解消される?」

「患者のおかれていた状況やどの薬草を使われたのかが、わからないので、何とも断言は出来ませんが、充分睡眠が取れれば、精神的に安定して、蓄積された疲労は回復するだろうと思います
 就寝前のお茶として飲むことで、手足の冷え等にも効くでしょうね」

「……」

「義姉上、続きを話しても?」

「ご、ごめんなさい、
 貴方はその薬草を使って?」

「そうです
 資金と時間はかかります
 簡単な道のりではありません
 ですが、将来的にその投資は何倍にも成って
還ってくるでしょう」

「……」

「自然に群生している植物の環境を整え、供給量を安定させます
 研究者を集め、資金提供します
 彼らは資金を止められる心配をする必要はなく成果を急がされる事もない
 安全な薬を開発し、伯爵家で販売ルートを開拓します
 安価で平民にも手に入る薬です
 義兄上にも、ご協力を取り付けました
 義父上には年間試算表を見せて、ご了承いただきました」
< 181 / 190 >

この作品をシェア

pagetop