初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
今回の帰国は皇太子殿下の使節団の一員として、随行させていただきました。
 
使節団の目的はこの度正式に縁組みされた、
王国のメイベル第1王女殿下と
帝国のダミアン皇太子殿下の婚約を王国内で披露するためでした。

そもそも、皇太子殿下が私を皇妃陛下の侍女にとお口添えくださったのは、カステード王国から
御興し入れされるメイベル王女殿下の為です。
 

「カステード出身のシャーロットが居れば、彼女も孤独は感じないだろ?
 ゆくゆくは君には乳母になって貰うことも検討している」

殿下はそのご気性から、何事もはっきりと口に出される御方です。


「今回、メイベルと顔合わせして貰うよ
 もし、彼女が君とは合わないと言うなら、
 この話はなかった事にして、母上の侍女を続けてくれ」

「王女殿下は王国から仕えてくれている侍女を、
 お連れになるのではないでしょうか?
 私など不要と存じます」

「侍女なんて同行させないよ?
 彼女には一人で嫁に来てもらう
 婚前契約書に条件として盛り込んだよ」

「……」

「ひどいヤツだ、って言いたげな顔だな
 俺は皇太子妃の周囲に王国の人間を付けるつもりはない」
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