初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
その日はお約束をしていなかったのに、先触れも無くノーマン様は朝早く邸を訪ねて来られました。

お顔を拝見するのは本当に久しぶりのことでした。
学年末試験が終わるまでと、勉強に追われる私を気遣ってくださって、会うのを控えていたのです。


「おはようございます、ノーマン様
 今日はお仕事お休みですの?」

「おはよう、シャーロット
 とりあえず隣に座って」

挨拶もそこそこに、ノーマン様はご自分の座っていらしたソファの隣を掌で軽くたたきました。


例年のこの時期、夏のスケジュールは大抵埋まっているのですが、今年は何故かまだノーマン様
からのお誘いはありませんでした。

私は彼のお隣に腰かけました。

(今年は何か特別なお誘いがあるのかもしれないわね)


一緒に連れだってバカンス用のショッピングに
行くのも今頃のことです。
今朝のノーマン様は私服なので、これから買い物に出掛けようとお迎えに来てくださったのかと、私は思い込んでしまいました。

(これがステーシー様が教えてくださった
『サプライズ』なのかも!)
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