初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
「私はカステードの人間でございます」

「君は王国に内通なんかしないだろ?
 メイベルが頼れるのは夫だけにしたくてね」


王女殿下は殿下がこのような独占欲をお持ちなのを、ご存知なのでしょうか……

 
夜会に先駆けて、控え室にて王女殿下にご挨拶
させていただきました。

「とても心強いわ、頼りにしています
 どうぞよろしくお願いします」

鈴をふるような可愛らしいお声で、跪く私に白く美しい御手を差しのべてくださいました。
 
王女殿下から個人的にお言葉をいただけるなんて王国にいた頃は想像もしていませんでした。


天使のようなこの御方に決して辛い思いをさせてはならない、そう私は思いました。

 
他国出身の私に、このような名誉あるお役目をいただけて、この身をレオパード皇家に捧げると、私は誓いを新たにしたのです。


◇◇◇


2日前から私は皇太子殿下のお許しを得て使節団を離れ、実家に下がらせていただいていました。

今夜の夜会のパートナーを勤めてくれるのは、
義弟のギリアンです。
彼は私より1つ年下の従弟でした。


卒業後も帝国に留まりたいと言う私の我が儘を、お父様がお許し下さったので、昨年養子縁組し、ガルテン伯爵家の後継として迎えたのです。
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