初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
『護るもの』と『切り捨てるもの』

お父様には、はっきりとした線引きがあります。
領地経営科で領主としての心構えを学んで、
ようやく私にもそれが理解出来るようになって
参りました。


私は……
夢の続きが見たいと語るノーマン様に不信を持ち始めていました。

ノーマン様は本当に私と人生を共に歩いて行きたいと、思っていてくださっているのか。
確信が持てなくなってきていました。


「は、夢の続きだと?
 あいつは何様のつもりだ!
 ダグラスはこの事を承知なのか!」

ダグラスとはノーマン様のお父様のブライトン
伯爵様のことです。
ご家族にも内緒にして入団試験を受けられたの
だと、私は正直に話しました。


結局ノーマン様の言葉をそのまま伝えることしか出来ませんでした。
お父様に誤魔化しは効きません。


「お前が幼い頃からあの小僧を好いているようだからと、シェリーズに頼まれて縁組みしたが……
 私は本当はディランが良かったんだ」

ブライトンのおば様が末っ子のノーマン様に甘過ぎると、常々お父様が嘆かれているのは知っていましたが。
本当はディランお兄様と婚約させたかったとは、初耳でした。
< 33 / 190 >

この作品をシェア

pagetop