初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました

対する王太子殿下のご婚約者様は筆頭公爵家の
クリスティン・マクロス・ランカスター様
でした。

王家とお血筋が繋がった公爵家の名に恥じない
大層美しい御方でございました。
学園の図書館で初めてクリスティン様をお見かけした時は、そのお姿に息を飲んでしまいました。

大好きな絵本に出てくるお姫様がそこに実在していたからです。
月の雫で出来た銀色の髪がサラサラと背中に流れていました。
そっと視線を上げられたその瞳は、深い深い海の色。

幼い頃ノーマン様と並んで眺めた絵本のお姫様。


クリスティン様は月の女神の生まれ変わりのお姫様だと思いました。


　◇◇◇


今回のパーティーは王太子殿下ご自身が企画されたのだと、噂が学園内で流れていて、私達はそれをとても楽しみにしていました。

同世代の貴族令息令嬢のみが招待される王太子殿下の成人パーティー。

ご両親であらせられる国王王妃両陛下もお顔を
お見せになるご予定はないとのことでした。

送られてきた流麗な招待状には
『カジュアルな服装で』と、一文が添えられていて。
それだけで、受け取った私達は大騒ぎになりました。