初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
そうして。
そのままどのくらい時が過ぎたのでしょうか。
ようやく私の所に戻ってこられたノーマン様の
表情も沈んでおられましたが、何故か彼の緑の瞳には、ほの暗い炎のようなものが宿っているように見えました。
「王太子殿下は最低だ
クリスティン様がお気の毒だ」
「そうですわね」
「残っていても仕方ない
何の役にも立たないから帰ろう」
「そうですわね」
私の意見など求めていないノーマン様に、
ステーシー様から聞いた話をお聞かせするのは
躊躇われました。
私はステーシー様に軽く会釈をして離れ、
ノーマン様と帰ることになりました。
結局、私達が会場に居たのはわずかな時間でした。
帰りの馬車の中でも、ノーマン様は無言のままでした。
窓の外に顔を向け、流れる夜景をぼんやりと見ていらっしゃいました。
少しもこちらを見てはくださいません。
(あんなに大騒ぎして浮かれて、楽しみにしていた夜でしたのに……
少しでも良く見せたくて遅刻してしまったけれど、ノーマン様は素敵だと仰ってくれたのに)
そのままどのくらい時が過ぎたのでしょうか。
ようやく私の所に戻ってこられたノーマン様の
表情も沈んでおられましたが、何故か彼の緑の瞳には、ほの暗い炎のようなものが宿っているように見えました。
「王太子殿下は最低だ
クリスティン様がお気の毒だ」
「そうですわね」
「残っていても仕方ない
何の役にも立たないから帰ろう」
「そうですわね」
私の意見など求めていないノーマン様に、
ステーシー様から聞いた話をお聞かせするのは
躊躇われました。
私はステーシー様に軽く会釈をして離れ、
ノーマン様と帰ることになりました。
結局、私達が会場に居たのはわずかな時間でした。
帰りの馬車の中でも、ノーマン様は無言のままでした。
窓の外に顔を向け、流れる夜景をぼんやりと見ていらっしゃいました。
少しもこちらを見てはくださいません。
(あんなに大騒ぎして浮かれて、楽しみにしていた夜でしたのに……
少しでも良く見せたくて遅刻してしまったけれど、ノーマン様は素敵だと仰ってくれたのに)