初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
「クリスティン様ご本人の口から、
『夏の間だけでいいので、友人として側にいて
欲しい』と、乞われたんだ
おひとりで過ごす夏は辛いと、仰った」
「友人って……
以前からクリスティン様とは親しくされていたのですか?」
「いや、さすがに在学中は王子殿下の手前、何もなかったが……
あまりにもクリスティン様がお気の毒で、帝国に向かわれる前に花束と手紙を届けさせていただいたんだ」
私は何を聞かされているのでしょう?
私なら夏の間、ひとりで過ごしても平気だと?
私という婚約者のいる身でありながら、他の女性に花と手紙を贈ったと?
嬉しそうに報告されて。
それだけでも許されるものではないのに、
その方と今年の夏はずっとご一緒されると、
堂々と告げられるなんて!
嬉々として話を続けられるノーマン様は、平気で私の心を削ってこられました。
「もちろん恋文などではないから、シャーロットは安心してくれ
僕はあくまで友人として、旅立たれる前に
エールを送るつもりで手紙を書いたんだ
その時はご返信をいただけなかったが、感謝致しますと、ご本人からご連絡が来たんだ!」
「……」
「僕からの手紙が帝国での毎日の支えになったのだ、と」
(ノーマン様ってこんな人だった?)
彼の頬は紅潮し、緑の瞳は遠くを見ていました。
多分、先日会ったクリスティン様のご様子を思い出しているのでしょう。
「ひと夏中ずっとその別荘で、ふたりきりで……
お過ごしになるの……」
私の尋ねる声が。
ご自分の隣に座る私が。
怒りで震えてしまっている事に、ノーマン様は
気づいてもいらっしゃらないようでした。
(このひとは私を全然見ていない)
改めて突き付けられた現実でした。
『夏の間だけでいいので、友人として側にいて
欲しい』と、乞われたんだ
おひとりで過ごす夏は辛いと、仰った」
「友人って……
以前からクリスティン様とは親しくされていたのですか?」
「いや、さすがに在学中は王子殿下の手前、何もなかったが……
あまりにもクリスティン様がお気の毒で、帝国に向かわれる前に花束と手紙を届けさせていただいたんだ」
私は何を聞かされているのでしょう?
私なら夏の間、ひとりで過ごしても平気だと?
私という婚約者のいる身でありながら、他の女性に花と手紙を贈ったと?
嬉しそうに報告されて。
それだけでも許されるものではないのに、
その方と今年の夏はずっとご一緒されると、
堂々と告げられるなんて!
嬉々として話を続けられるノーマン様は、平気で私の心を削ってこられました。
「もちろん恋文などではないから、シャーロットは安心してくれ
僕はあくまで友人として、旅立たれる前に
エールを送るつもりで手紙を書いたんだ
その時はご返信をいただけなかったが、感謝致しますと、ご本人からご連絡が来たんだ!」
「……」
「僕からの手紙が帝国での毎日の支えになったのだ、と」
(ノーマン様ってこんな人だった?)
彼の頬は紅潮し、緑の瞳は遠くを見ていました。
多分、先日会ったクリスティン様のご様子を思い出しているのでしょう。
「ひと夏中ずっとその別荘で、ふたりきりで……
お過ごしになるの……」
私の尋ねる声が。
ご自分の隣に座る私が。
怒りで震えてしまっている事に、ノーマン様は
気づいてもいらっしゃらないようでした。
(このひとは私を全然見ていない)
改めて突き付けられた現実でした。