初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
兄達が少女にカードやボードゲームのルールを
教えているのを、少し離れた場所から少年は見ていた。

気になって少女が声をかけて誘っても、少年が
こちらに混ざることはなく、子供用の木剣を手にして外へ行ってしまう。


少年の後ろ姿を見つめていた少女に兄達は

『あいつは頭が悪いからルールを理解出来ないんだ』
『気にしなくていいよ』

そう言ってゲームを始めた。


自分が言われたわけではなく。
兄達は自分に優しかった。

だが少女は少年の毎日はそんなに楽しいものじゃないのかもと
少し悲しい気持ちになった。


もし、三兄弟の中で誰かを選ばないといけない
のなら少年かなと思っていたので、
母親に聞かれ少年の名前を告げた。
ただそれだけだったけれど、父親が結んできた
婚約を嫌だとも思わなかった。

好きになろうと努力すれば好きになれる。
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