初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
クリスティン様が婚約破棄されたあの夜、俺は
イラつきを押さえることが出来ずに……
シャルにひどい言葉を吐いたのだ。

言ってから『しまった』と思った。
シャルが怯えたように身をすくませたからだ。
まずい。

これを知った彼女の父親がどんなに怒ることか。
だけど、一度口にした言葉は戻らない。
俺はいつもみたいに彼女を誤魔化すことが出来ず
黙っているだけだった。



王太子は廃嫡されてただの王子になり、毒を飲んだ。
王子や平民女と一緒になって、いい気になってた
3バカも、今は何処にいるかわからない。
平民女とその家族は王家に仇をなした者として、
首を落とされて晒された。

晒された平民女の首に、石でも投げてやろうかと王宮前広場へ向かったが、第1騎士隊が立って
いて近付けなかった。
第1の前では、誰もが気圧されて大人しくなる。


これで終わったんだと、俺は思った。
クリスティン様を苦しめた奴らは粛清された。
彼女は帝国で、心の傷を癒されていた。

帰国したら、彼女は誰かと結婚するだろう。
きっと公爵令嬢に相応しい相手だろう。
それは決して、俺ではない。
< 77 / 190 >

この作品をシェア

pagetop