初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
クリスティン様に思いきって手紙を出してみた。
どう書けば彼女に元気になっていただけるだろうかと、悩み抜いて結局簡単になった。

『1日も早くお心の傷が癒えますように』

こんな一文じゃカードで充分なのに、俺は便箋に書いた。


『女性にはお花を贈るべきですよ』と家令が言った。


「それも花屋に頼むんじゃなくて、
 ご自分でお届けしたら、シャーロット様も
 大変お喜びになるかと」
 
家令はシャルに渡すのだと思い込んでいたが、
あえて否定はしない。
違う女性だと言えば、聞き付けた母が大騒ぎする
だろう。


俺は愛馬に乗り、公爵家へ向かった。
手紙と花束を門番に言付けた。

クリスティン様からはご返信がなかったが、それはわかっていたので落ち込むことはなかった。
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