初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
そのお茶会は、私がキャルにお誘いされて侯爵家に伺うようになって、
何回目のことだったでしょうか……
すっかり顔馴染みになった執事さんにいざなわれて、いつもお茶会に使用される温室に入ったのですが、そこにはキャルの姿はなく。
艶やかな黒髪をひとつに結ばれた若い男性と
私よりも年上とお見受けする灰色の短髪の男性が
おふたりテーブルに着いていらっしゃいました。
おふたりは私に気付くと立ち上がり、胸に左手を当てられました。
それは帝国式の女性に対する礼でした。
そして……私はようやく気付きました。
長い黒髪のお若い方の男性が。
レオパード帝国が誇る、『帝国の黒き薔薇』。
赤い瞳の皇太子ダミアン殿下であられると。
灰色の髪をした男性が私をエスコートしてくださるおつもりで、こちらに近付いてこられました。
私は慌てて歩みを早めました。
皇太子殿下を立たせてお待たせするなど、不敬
極まりないことでしたから。
私は深々と頭を下げ、最上級のカーテシーを致しました。
「帝国の若き太陽、皇太子殿下にご挨拶致し…」
「あぁ、今はそういう固苦しいのいいからね
どうぞ座って?」
皇太子殿下は向かいの席を示されました。
私の正面に殿下、左隣には灰色の髪の男性が座り、落ち着かない私は
手にしていたハンカチを握り締めました。
何回目のことだったでしょうか……
すっかり顔馴染みになった執事さんにいざなわれて、いつもお茶会に使用される温室に入ったのですが、そこにはキャルの姿はなく。
艶やかな黒髪をひとつに結ばれた若い男性と
私よりも年上とお見受けする灰色の短髪の男性が
おふたりテーブルに着いていらっしゃいました。
おふたりは私に気付くと立ち上がり、胸に左手を当てられました。
それは帝国式の女性に対する礼でした。
そして……私はようやく気付きました。
長い黒髪のお若い方の男性が。
レオパード帝国が誇る、『帝国の黒き薔薇』。
赤い瞳の皇太子ダミアン殿下であられると。
灰色の髪をした男性が私をエスコートしてくださるおつもりで、こちらに近付いてこられました。
私は慌てて歩みを早めました。
皇太子殿下を立たせてお待たせするなど、不敬
極まりないことでしたから。
私は深々と頭を下げ、最上級のカーテシーを致しました。
「帝国の若き太陽、皇太子殿下にご挨拶致し…」
「あぁ、今はそういう固苦しいのいいからね
どうぞ座って?」
皇太子殿下は向かいの席を示されました。
私の正面に殿下、左隣には灰色の髪の男性が座り、落ち着かない私は
手にしていたハンカチを握り締めました。