初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました
そんな私の様子を、殿下はじっとご覧になって
いました。


「驚かせて悪かったね
 キャロライン嬢には席を外すよう、私がお願いしたんだ」

ハンカチを持つ手が震えました。


「改めて自己紹介しよう
 私は、いや俺はダミアン・ロウ・ブルックス
 知っているだろうが、レオパードの皇太子だ
 君と同じ学年に在籍しているが、夏前から忙しくて学院に通えてないんだ」

殿下がお隣の男性を、手で示されました。


「こっちの愛想のない男は、
 エドガー・ナイ・バイロン
 所属は近衛だが、皇帝陛下の命で今は俺と、
ある件に関わっている」

バイロン様が軽く私に頭を下げられました。
バイロンと、おっしゃるということは。


「私のことはエドガーと呼んでくださって構いません
 キャロラインは私の妹です」

キャルのお兄様だと言われたので、やっぱりと思いました。
エドガー様の髪と瞳の色はキャルと同じでした。

(それではこの方が『おじさん』なのね)

キャルの話には、おじさんのことがたくさん出てきました。

最初私は文字通り、お父様のご兄弟が侯爵邸に同居されているのかしらと、思ったのですが。
よくよく聞いてみると、おじさんは8歳年上の
お兄様のことだと、わかりました。
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