レンカレ
3回目の浮気
「山田さん、今日はもう上がっていいよ。
ひと段落したし、ずっと残業続きだったでしょ?」
思わぬ主任からの言葉にチカは久しぶりに陽が落ちる前に会社を出た。
高級スーパーで少しいい牛肉を買って
シュンスケの好きな赤ワインも買って
少し早い時間にシュンスケの部屋の前に着いた。
一旦脚を止めて鏡を取り出し、髪を整える。
そして一息つくとドアのベルを鳴らす。
しかし、今日のシュンスケの声はいつもと違った。
「え?チ、チカ?ちょ、ちょっと待って!」
しばらくドアが開かなくて、チカは嫌な予感がした。
付き合ってこれが3回目だ。
シュンスケはカッコよくて優しいが
女の子にだらしない。
チカは覚悟して持っている合鍵でドアを開ける。
玄関にはラインストーンの付いたピンヒールのサンダルがあった。
あー、またかとチカは思う。
急いで服を着たシュンスケが出てきて
立ち尽くしてるチカを抱きしめた。
「ごめん、マジで許して。」
下着姿の若い女の子がベッドから降りてきて
脱ぎ散らかした服を拾い集めていた。
チカと目が合うと溜息をついて
「ちょっと、彼女いたの?
マジ最悪なんだけどー。」
とシュンスケに悪態をついた。
彼女もある意味被害者だ。
シュンスケに上手いこと言われて部屋に連れ込まれたに違いない。
「帰る。」
チカは持っていた肉とワインの入ったエコバッグごとシュンスケの足元に投げつけた。
ワインの瓶が割れて、白いコットンのエコバッグはみるみるうちに赤く染まっていく。
シュンスケは連れ込んだユカリの手前、チカを引き留められなかった。
「ユカリ、悪いんだけど今日は帰って。
ホントごめん。」
半裸の女の子は自分の服でシュンスケの頭を思い切り叩いた。
「マジでごめん。」
シュンスケは何をされてもただ謝るしかなかった。
そしてユカリが出て行くとシュンスケは急いで服を着替えてチカを追いかけた。
チカに電話をかけたがもちろんチカがその電話を取ることはない。
チカは泣きながらミカコの部屋を訪ねた。
ミカコは高校からの親友で2人で連んでよく遊んだ。
昔から絵が上手かったミカコは大学生の頃に応募した漫画が賞を獲って漫画家になったのだが
正直なかなか厳しいところにいた。
連載はすぐに打ち切られ、
今はたまに読み切りの作品を描いているくらいでさほど忙しくはない。
ミカコはチカに取材と言ってはホストクラブに行ったり、出張ホストを呼んでみたり、ストリップに行ってみたりととにかく好奇心旺盛で性にも奔放であるが
そんなミカコは過去に不倫して痛手を負ってから
もう何年も恋を休んでいる。
だからシュンスケのようなダラシない男が許せないのだ。
何度もチカの涙を見ているミカコはシュンスケと別れることを願っていた。
そしてまた泣かされてるチカを見てミカコは本当にシュンスケを許せないと思いながらチカの頭を撫でた。
「もうシュンスケのこと捨てていいよ。」
ミカコはそう言ってチカを部屋に上げた。
「マジ、シュンスケはやめた方がいいよ。
もう何回目よ?」
「さ、3回目。」
「アホだよアイツ!アイツの下半身は病気なの!
それも不治の病!治んないよ、絶対!
もう別れてさ、次の男見つけた方がいいって!」
ミカコは何度も同じ目に遭うチカもチカだと呆れているが、恋愛というのは思考能力が著しく低下するモノだとわかっている。
だから恋なんてするもんじゃないとチカを見てるといつも思うのだ。
「飲みにでも行くか!」
目を真っ赤に泣き腫らしたチカをミカコは行きつけのバーに連れて行く。
「あ、ミカちゃん、いらっしゃませ。
あれ?チカちゃんどうしたの?」
「また浮気されたのよ!」
ミカコが代わりに答えておしぼりでチカの目を冷やしながらチカの頭を撫でた。
「ねぇ、チカ、最近ね、良いもの見つけたの!
これ、レンタル彼氏!
めっちゃクオリティ高いコばっかだよぉ。
思い切ってさ、今夜はこの中のイケメンに癒してもらおうよ。」
ミカコはチカにそのサイトを見せながら
自分も品定めしている。
「この前さ、ここ利用したんだけど、すっごい良い子来てさー。
なんか意気投合しちゃってさ。楽しかったよー。」
チカはミカコの話に少しだけ耳を傾ける。
「どう?好みの男いる?」
チカは悩むこともなく一瞬で1人の男を指差した。
「え?この子?あー、チカの好きそうなタイプだわ〜。」
よし、じゃあとりあえずこの子呼ぼう!」
こうして30分後、そのバーにその男がやってきた。
「ご指名ありがとうございます。」
それがチカとレンタル彼氏のリョウの出逢いだった。
ひと段落したし、ずっと残業続きだったでしょ?」
思わぬ主任からの言葉にチカは久しぶりに陽が落ちる前に会社を出た。
高級スーパーで少しいい牛肉を買って
シュンスケの好きな赤ワインも買って
少し早い時間にシュンスケの部屋の前に着いた。
一旦脚を止めて鏡を取り出し、髪を整える。
そして一息つくとドアのベルを鳴らす。
しかし、今日のシュンスケの声はいつもと違った。
「え?チ、チカ?ちょ、ちょっと待って!」
しばらくドアが開かなくて、チカは嫌な予感がした。
付き合ってこれが3回目だ。
シュンスケはカッコよくて優しいが
女の子にだらしない。
チカは覚悟して持っている合鍵でドアを開ける。
玄関にはラインストーンの付いたピンヒールのサンダルがあった。
あー、またかとチカは思う。
急いで服を着たシュンスケが出てきて
立ち尽くしてるチカを抱きしめた。
「ごめん、マジで許して。」
下着姿の若い女の子がベッドから降りてきて
脱ぎ散らかした服を拾い集めていた。
チカと目が合うと溜息をついて
「ちょっと、彼女いたの?
マジ最悪なんだけどー。」
とシュンスケに悪態をついた。
彼女もある意味被害者だ。
シュンスケに上手いこと言われて部屋に連れ込まれたに違いない。
「帰る。」
チカは持っていた肉とワインの入ったエコバッグごとシュンスケの足元に投げつけた。
ワインの瓶が割れて、白いコットンのエコバッグはみるみるうちに赤く染まっていく。
シュンスケは連れ込んだユカリの手前、チカを引き留められなかった。
「ユカリ、悪いんだけど今日は帰って。
ホントごめん。」
半裸の女の子は自分の服でシュンスケの頭を思い切り叩いた。
「マジでごめん。」
シュンスケは何をされてもただ謝るしかなかった。
そしてユカリが出て行くとシュンスケは急いで服を着替えてチカを追いかけた。
チカに電話をかけたがもちろんチカがその電話を取ることはない。
チカは泣きながらミカコの部屋を訪ねた。
ミカコは高校からの親友で2人で連んでよく遊んだ。
昔から絵が上手かったミカコは大学生の頃に応募した漫画が賞を獲って漫画家になったのだが
正直なかなか厳しいところにいた。
連載はすぐに打ち切られ、
今はたまに読み切りの作品を描いているくらいでさほど忙しくはない。
ミカコはチカに取材と言ってはホストクラブに行ったり、出張ホストを呼んでみたり、ストリップに行ってみたりととにかく好奇心旺盛で性にも奔放であるが
そんなミカコは過去に不倫して痛手を負ってから
もう何年も恋を休んでいる。
だからシュンスケのようなダラシない男が許せないのだ。
何度もチカの涙を見ているミカコはシュンスケと別れることを願っていた。
そしてまた泣かされてるチカを見てミカコは本当にシュンスケを許せないと思いながらチカの頭を撫でた。
「もうシュンスケのこと捨てていいよ。」
ミカコはそう言ってチカを部屋に上げた。
「マジ、シュンスケはやめた方がいいよ。
もう何回目よ?」
「さ、3回目。」
「アホだよアイツ!アイツの下半身は病気なの!
それも不治の病!治んないよ、絶対!
もう別れてさ、次の男見つけた方がいいって!」
ミカコは何度も同じ目に遭うチカもチカだと呆れているが、恋愛というのは思考能力が著しく低下するモノだとわかっている。
だから恋なんてするもんじゃないとチカを見てるといつも思うのだ。
「飲みにでも行くか!」
目を真っ赤に泣き腫らしたチカをミカコは行きつけのバーに連れて行く。
「あ、ミカちゃん、いらっしゃませ。
あれ?チカちゃんどうしたの?」
「また浮気されたのよ!」
ミカコが代わりに答えておしぼりでチカの目を冷やしながらチカの頭を撫でた。
「ねぇ、チカ、最近ね、良いもの見つけたの!
これ、レンタル彼氏!
めっちゃクオリティ高いコばっかだよぉ。
思い切ってさ、今夜はこの中のイケメンに癒してもらおうよ。」
ミカコはチカにそのサイトを見せながら
自分も品定めしている。
「この前さ、ここ利用したんだけど、すっごい良い子来てさー。
なんか意気投合しちゃってさ。楽しかったよー。」
チカはミカコの話に少しだけ耳を傾ける。
「どう?好みの男いる?」
チカは悩むこともなく一瞬で1人の男を指差した。
「え?この子?あー、チカの好きそうなタイプだわ〜。」
よし、じゃあとりあえずこの子呼ぼう!」
こうして30分後、そのバーにその男がやってきた。
「ご指名ありがとうございます。」
それがチカとレンタル彼氏のリョウの出逢いだった。
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