レンカレ
夜明け前
(うわっ〜飲み過ぎた!きもちわるー
頭いたい…水飲みたい。)
空が少し明るくなりかけた頃、チカは気分が悪くて目を覚ました。
(昨日は楽しかったなぁ、よく飲んで喋ったなぁ。
鷺坂くん無事に家に帰ったかな?)
重たい頭を持ち上げて身体を起こし、冷蔵庫から2リットルのペットボトルを出すとキャップを開けてそのまま口に付ける。
あれだけ酔っていてもコンタクトはキチンと外していたようで視界が全体的にぼやけて見える。
今日は土曜で会社も休みだったのでもう一眠りしようとベッドに戻る。
その時少し違和感がした。
(え?全裸?全裸で寝たのー?ん?)
自分の脚が何かとぶつかって、チカは急いでベッドサイドのテーブルにあるメガネをかけた。
「え〜っ!」
ぶつかったのは男の脚だ。
恐る恐る毛布を捲るとそこに鷺坂アラタが寝ている。
毛布を捲られたアラタは目を覚まして寝ぼけた顔で聞く。
「んー…え?や、山田さん?」
「あ、あのさ…昨日私たちって…そのヤ…」
「や?」
(察してよぉー)と思いながらチカは思い切って聞いてみる。
「ヤっちゃったの?」
アラタが突然吹き出して大笑いした。
「覚えてないんだ?」
「え?君は覚えてるの?
てか、ワタシんち?何で勝手に泊まってるのー?」
アラタは呆れた顔でチカを見て、大きな溜息をついた。
「あのさー、帰らないでってオレの腕掴んで離さなかったじゃん?
シュンスケのバカって泣きながらさ。」
チカは何となくそのことを思い出した。
「ヤって…ないよね?」
「おっぱい見えてるけど。」
「え?」
チカは全裸だったことをウッカリ忘れていて
慌てて毛布にくるまって裸の身体を隠す。
「ま、もっとすごいトコ見てるから大丈夫だよ。」
意味深な言葉を吐いてアラタが笑う。
「な、何、それー!」
「とりあえず水もらっていい?」
アラタがチカがさっき冷蔵庫から持ってきた2リットルのペットボトルに口をつける。
「あ、それ私今口つけたヤツ…」
「え?気にしないで。オレら昨日キスした仲じゃん。」
「は?え?何?ちょっと待って…」
チカは焦りながらもアラタがゴクゴクと音を立て水を飲むアラタの動く喉を見て
(なんてセクシーなの?)と思いながら一瞬見惚れてしまう。
「チカちゃんて結構デカいね。」
「え?」
「おっぱい。細いのにさ、結構あるよね。」
チカはその言葉で昨日の夜、アラタが自分の胸を揉んだんだと確信した。
「マジで…ヤったんだ。
でもそれってまずいんじゃないの?
だって手を繋ぐまでって…」
「時間外でしょ?レンタルの時間はとっくに過ぎて
オレは事務所に終わりましたっ報告してからプライベートで会社の人と飲んで…いい雰囲気になって
合意の上でそうなったんだから問題ないよ。」
「問題ないって…問題だよぉ。
合意の上って言われてもさー。
覚えてないんだって!
ね、来週からどんな顔して仕事すればいいの?」
アラタは焦ってるチカを見てもっと揶揄いたくなる。
「どんな顔って普通でいいよ。
無かったことにはならないけど…
チカちゃん結構オレと相性いいと思うよ。
めっちゃ感じてたし、喘ぎ声とか凄くて興奮したよ。」
チカは慌ててアラタの口を塞いだ。
「それ以上言ったら張っ倒すからね!」
そんなチカが可愛くて、毎日の生活でいっぱいいっぱいだったアラタにとってチカは束の間の癒しになった。
「コーヒー飲む?」
「うん。」
結局アラタはコーヒーを飲んで帰って行った。
「またご贔屓に。」
と最後はレンタル彼氏の営業をして笑って部屋を出て行った。
チカは昨日の夜のことを必死に思い出そうとしても
結局何も憶えていなかった。
携帯のバッテリーが切れているのに気がついて充電すると何件もの着信履歴とメールがシュンスケから来ていた。
チカは急に現実に引き戻される。
「そろそろ潮時かなぁ。」
そんな独り言をぽつんと呟いて電話をベッドに放り投げるとベランダに出て、タバコを一本吸った。
禁煙するってシュンスケに誓ったのに
チカはもうその誓いを守る気にもなれなかった。
電話が鳴って恐る恐る着信画面を見るとミカコからだった。
チカはホッとして電話を取ると
元気なミカコの声に圧倒される。
「おはよー。起きてた?
昨日どうだった?」
チカは昨日の真実を誰かに相談しないでは居られなかった。
もちろんこんなことを相談できるのはミカコだけだ。
「ミカコ〜!マジで何であの男の呼んだのよ!」
「え?だってチカの好みじゃん!どストライクじゃん?違う?」
「違わないけどさ。
だからまずいんだって!」
そこまで言ったきり急にチカの歯切れが悪くなる。
「あ、もしかして…ヤッちゃった…とか?」
一瞬チカは固まってしまい、ミカコはそれを察する。
「え〜?マジで?
チカ〜!風俗じゃないんだからさ、いきなり本番てのはNGだよ。あ、風俗もダメか?」
「それがさ。
会社の…同じ会社の人だったの!」
「待て待て待て…え?どういうこと?」
「だからぁ、同じ会社の子で…話が弾んじゃってさー。
いい感じに記憶飛んじゃって朝起きたら全裸だよ?」
ミカコが大声で笑ってチカはそれ以上何も言えなくなった。
「で、向こうも全裸だったんだ?
朝から見ちゃったんだ。あの子のアレ。」
「み、見てないよ!てゆーか下着着けてたんじゃないかな?ん?って本当にヤったのかなぁ?
あー、全然覚えてない!
どうしよう。まずいよねぇ。」
チカが困っているのに反してミカコはチカの背中を押した。
「知り合いならさ、これからも気軽に逢えばいいじゃん。
で、シュンスケのことは忘れてさ。
あのイケメンと上手くいくってのもいいかなって思うけど。」
「いやいやいや、レンタル彼氏とかやってる彼氏とかあり得ないから。」
「別に寝るわけじゃ…あ、チカは寝ちゃったんだもんね。
彼、他の人にも枕、やるのかな?」
「どう…だろうね。」
チカは急にそんなアラタの軽さが気になった。
お金上乗せするって言ったらもしかしたら寝ちゃったりするのかな?なんてとんでもない妄想をして一人で落ち込んだ。
シュンスケの浮気なんて遠い昔のことみたいに感じた。
頭いたい…水飲みたい。)
空が少し明るくなりかけた頃、チカは気分が悪くて目を覚ました。
(昨日は楽しかったなぁ、よく飲んで喋ったなぁ。
鷺坂くん無事に家に帰ったかな?)
重たい頭を持ち上げて身体を起こし、冷蔵庫から2リットルのペットボトルを出すとキャップを開けてそのまま口に付ける。
あれだけ酔っていてもコンタクトはキチンと外していたようで視界が全体的にぼやけて見える。
今日は土曜で会社も休みだったのでもう一眠りしようとベッドに戻る。
その時少し違和感がした。
(え?全裸?全裸で寝たのー?ん?)
自分の脚が何かとぶつかって、チカは急いでベッドサイドのテーブルにあるメガネをかけた。
「え〜っ!」
ぶつかったのは男の脚だ。
恐る恐る毛布を捲るとそこに鷺坂アラタが寝ている。
毛布を捲られたアラタは目を覚まして寝ぼけた顔で聞く。
「んー…え?や、山田さん?」
「あ、あのさ…昨日私たちって…そのヤ…」
「や?」
(察してよぉー)と思いながらチカは思い切って聞いてみる。
「ヤっちゃったの?」
アラタが突然吹き出して大笑いした。
「覚えてないんだ?」
「え?君は覚えてるの?
てか、ワタシんち?何で勝手に泊まってるのー?」
アラタは呆れた顔でチカを見て、大きな溜息をついた。
「あのさー、帰らないでってオレの腕掴んで離さなかったじゃん?
シュンスケのバカって泣きながらさ。」
チカは何となくそのことを思い出した。
「ヤって…ないよね?」
「おっぱい見えてるけど。」
「え?」
チカは全裸だったことをウッカリ忘れていて
慌てて毛布にくるまって裸の身体を隠す。
「ま、もっとすごいトコ見てるから大丈夫だよ。」
意味深な言葉を吐いてアラタが笑う。
「な、何、それー!」
「とりあえず水もらっていい?」
アラタがチカがさっき冷蔵庫から持ってきた2リットルのペットボトルに口をつける。
「あ、それ私今口つけたヤツ…」
「え?気にしないで。オレら昨日キスした仲じゃん。」
「は?え?何?ちょっと待って…」
チカは焦りながらもアラタがゴクゴクと音を立て水を飲むアラタの動く喉を見て
(なんてセクシーなの?)と思いながら一瞬見惚れてしまう。
「チカちゃんて結構デカいね。」
「え?」
「おっぱい。細いのにさ、結構あるよね。」
チカはその言葉で昨日の夜、アラタが自分の胸を揉んだんだと確信した。
「マジで…ヤったんだ。
でもそれってまずいんじゃないの?
だって手を繋ぐまでって…」
「時間外でしょ?レンタルの時間はとっくに過ぎて
オレは事務所に終わりましたっ報告してからプライベートで会社の人と飲んで…いい雰囲気になって
合意の上でそうなったんだから問題ないよ。」
「問題ないって…問題だよぉ。
合意の上って言われてもさー。
覚えてないんだって!
ね、来週からどんな顔して仕事すればいいの?」
アラタは焦ってるチカを見てもっと揶揄いたくなる。
「どんな顔って普通でいいよ。
無かったことにはならないけど…
チカちゃん結構オレと相性いいと思うよ。
めっちゃ感じてたし、喘ぎ声とか凄くて興奮したよ。」
チカは慌ててアラタの口を塞いだ。
「それ以上言ったら張っ倒すからね!」
そんなチカが可愛くて、毎日の生活でいっぱいいっぱいだったアラタにとってチカは束の間の癒しになった。
「コーヒー飲む?」
「うん。」
結局アラタはコーヒーを飲んで帰って行った。
「またご贔屓に。」
と最後はレンタル彼氏の営業をして笑って部屋を出て行った。
チカは昨日の夜のことを必死に思い出そうとしても
結局何も憶えていなかった。
携帯のバッテリーが切れているのに気がついて充電すると何件もの着信履歴とメールがシュンスケから来ていた。
チカは急に現実に引き戻される。
「そろそろ潮時かなぁ。」
そんな独り言をぽつんと呟いて電話をベッドに放り投げるとベランダに出て、タバコを一本吸った。
禁煙するってシュンスケに誓ったのに
チカはもうその誓いを守る気にもなれなかった。
電話が鳴って恐る恐る着信画面を見るとミカコからだった。
チカはホッとして電話を取ると
元気なミカコの声に圧倒される。
「おはよー。起きてた?
昨日どうだった?」
チカは昨日の真実を誰かに相談しないでは居られなかった。
もちろんこんなことを相談できるのはミカコだけだ。
「ミカコ〜!マジで何であの男の呼んだのよ!」
「え?だってチカの好みじゃん!どストライクじゃん?違う?」
「違わないけどさ。
だからまずいんだって!」
そこまで言ったきり急にチカの歯切れが悪くなる。
「あ、もしかして…ヤッちゃった…とか?」
一瞬チカは固まってしまい、ミカコはそれを察する。
「え〜?マジで?
チカ〜!風俗じゃないんだからさ、いきなり本番てのはNGだよ。あ、風俗もダメか?」
「それがさ。
会社の…同じ会社の人だったの!」
「待て待て待て…え?どういうこと?」
「だからぁ、同じ会社の子で…話が弾んじゃってさー。
いい感じに記憶飛んじゃって朝起きたら全裸だよ?」
ミカコが大声で笑ってチカはそれ以上何も言えなくなった。
「で、向こうも全裸だったんだ?
朝から見ちゃったんだ。あの子のアレ。」
「み、見てないよ!てゆーか下着着けてたんじゃないかな?ん?って本当にヤったのかなぁ?
あー、全然覚えてない!
どうしよう。まずいよねぇ。」
チカが困っているのに反してミカコはチカの背中を押した。
「知り合いならさ、これからも気軽に逢えばいいじゃん。
で、シュンスケのことは忘れてさ。
あのイケメンと上手くいくってのもいいかなって思うけど。」
「いやいやいや、レンタル彼氏とかやってる彼氏とかあり得ないから。」
「別に寝るわけじゃ…あ、チカは寝ちゃったんだもんね。
彼、他の人にも枕、やるのかな?」
「どう…だろうね。」
チカは急にそんなアラタの軽さが気になった。
お金上乗せするって言ったらもしかしたら寝ちゃったりするのかな?なんてとんでもない妄想をして一人で落ち込んだ。
シュンスケの浮気なんて遠い昔のことみたいに感じた。