一期一会。−1−
射抜かれてしまいそうなその目に
私は胸が破裂しそうだった。

至近距離はちょっと苦しいかな!?

この距離感バグってない??

ドキドキで死ぬな、私の心臓!

この見つめ合いでやられるのは、
チョロすぎるぞ。

クールらしく、どこかツンとしつつも
私からは一切目を離さない彼がイマイチ
掴めなくて。

逸したいのに、逸らせない。

な、名前言えば解放されるのかっ?!

ならば、解放されん!

『お、奥薗彩羽…です』

知らない人に名前教えちゃ駄目だよ!

なんて心の中の自分が叫ぶけど意味ない。

それはもう、後の祭りだ。

いつもだったら、
人見知り発動→
一瞬で逃亡の結果(氷室さんの場合)
だけど、何でかこの人は怖くない。

何でだろう、危険なオーラがないから?

生憎コミュ障なのもので、ポツリポツリと
返す私に、彼はふぅんと鼻を鳴らす。


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