一期一会。−1−
女子より女子らしい、白鷺さん。

心の中で、敗北を悟る私は密かに落ち込む。

「痛いけど、じっとしてろよ」

素っ気無く指示して、テキパキ作業を
開始する白鷺さん。

手慣れてますね!看護士さん志望かな?

まず、消毒液をコットンにたっぷり
染み込ませて、それを容赦なく私の膝に
つける。

更に、ポンポンしてくる!!

ここから、生き地獄は始まりました。

『いっ!…ゔっ!』

血だらけなだけあって、思いの外、重度の
怪我だったらしい。

無理無理無理!た、タンマっ!

痛いの何の、辛すぎる!

激痛が襲い、悲鳴らしからぬ悲鳴を
あげて動こうとする私の膝の周りを
ガッと掴んで、あろうことか押さえつけて
固定してくる。

「じっとしてろって、言ったよな?」

『……あぅ』

魔王様降臨いたしましたぁ!

ドスの利いた声が、響く。

怖いって!悪魔だぁあ!

私けが人!もっと慈悲ください!


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