一期一会。−1−
近いうちに葵に話しておきたい気持ちが
抑えられずに、次の日無断で青火高校に
単身で乗り込んだ。

心配性なナンバー2の有功−イサオ−には勿論
何も言わずに。

「あなた、それでもトップですか!」

と、怒鳴る有功が容易に想像できた。

アイツ、すぐ怒るし面倒なんだよな。

トップの自覚やら心意気やらを説いて
くるし…良く分からん。

俺に、赤城高校のトップとして率先垂範
しろだ、なんて言っても無駄なことだろう。

まぁ、説教なら後で死ぬほど聞いてやるよ。

一人で行くのは危険だったか?と校門から
堂々と入っていきながら、今更思う。

…とりあえず、葵探そう。

「え、嘘だろ…“壊鬼”?!」

「一人かよ」

俺は、“壊鬼”という通名を持つ喧嘩狂だ。

青火高校の連中は、俺をガン見しつつも
喧嘩を売りに来ることはなかった。

チッ、何だよつまんねぇ。

警戒、畏怖、恐怖、不安、心配…。

尽きることのない好奇心とも悪意とも
いえない視線を一斉に浴びながら、
俺はどうでも良さげにうろつく。


< 187 / 314 >

この作品をシェア

pagetop