一期一会。−1−
実際、どうでもいい。

早く、このつまらない隠れんぼを終わらせたかった。

葵…いるなら、出てこいよ。

せっかく、赤城高校のトップが直々に
来てやってんだから。

しばらくすると、青火高校内のザワつきに
異変を感じたらしく、葵がすっ飛んできた。

顔には汗が滲んでいて、全力で走ってきた
らしい。

…随分とあせってるな。

その後ろには、涼しげに“やっぱりね”と
言う表情で続く桃李。

やっと、退屈な時間が終わった。

「由宇っ、いきなりどうしたんだよ!?」

珍しく葵が慌てている。

詰め寄ってくる葵に、さっと身を引きながら
俺は首を傾げる。

葵って、クールな印象だったんだけど。

…こんな、すぐ感情出るやつだったっけ?

そんな疑問を抱きつつ、『用があってな』
と短く返した。

息を整える葵に代わって、桃李が
追及してくる。


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