一期一会。−1−
『少なくとも、気に入った。

 これから彩羽と関わるつもりだから、
 伝えとこうと思ったまでだ』

「宣戦布告のつもり?」

桃李が可愛らしい顔を崩して、能面の
ようになる。

チリチリと殺気めいたものを出し始める。

…宣戦布告な、随分と物騒じゃねぇか。

『あくまでも、報告だ。

 喧嘩するつもりはねぇよ』

女一人のために、高校ごと動かすほど
俺は煩悩に満ちてない。

…まぁ、コイツラだったら、やりかねない
だろうけど。

恋は盲目とやら。

(このとき、由宇は、愛する人のために
 街ごと動かす奴がいたとは知らな
 かった)

「あやを巡って奪い合うってこと?」

「…だな」

目線を交わし合うこと数分。

桃李は、「最悪、めんどくさ」と愚痴を
こぼす。


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