一期一会。−1−
「彩羽ちゃん好きが増えてしまった…」

打ちひしがれた挙げ句、頭を抱える葵が
笑えた。

ガクッと膝をついて嘆く葵を、桃李が
同情の目で見下ろす。

コイツ、彩羽のことになるとキャラ崩壊
すんの?

典型的な煩悩じゃん、めっちゃ彩羽のこと
好きじゃん。

本気でウケるんだが。

腹を抱えて笑いたい瞬間だ、しねぇけど。

「てか、あやのこと呼び捨てって
 馴れ馴れしくない?」

桃李は、ブラックオーラ全開で、
刺々しく言い放つ。

おー、機嫌わりぃな。

馴れ馴れしい?

お前らのほうが先に出会ってるから、
出会い頭の俺は遠慮しろって?

…そんなん、無駄だな。

時間と仲は比例しねぇんだよ。

それに、俺が“ちゃん”とか“さん”とか
付けた日には、人格崩壊だと思われ
かねない。

赤城高校の奴らが聞いたら、誰だお前!
と突っ込まれそうだ。

勇功なんて卒倒するかもな。

つまり、キャラに合わねぇってこと。


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