一期一会。−1−
「俺は、彩羽が行きたいところに
 行けばいいって思ってるよ。
 まだ、時間はあるからしっかり悩め」

ソウ君は、保護者の鑑だと思う。

『…うん』

こういうとき、ちゃんと私の意見を
優先してくれる。

保護者として、きちんと私を支えてくれる。

…でもね、私、どこに行きたいのか、
何をしたいのか、さっぱりわかんない
んだ。

靄にでもまかれちゃったみたい。

いつか、廃人にでもなっちゃいそう。

…まぁ、そうなる前にソウ君から怒られて
叩き直されて更生コースかな?

何が起こるか分からないけど、そんな
気がする。

ソウ君は、私のことを見離さないだろう
な。

だから、ソウ君。

もしも私が危ないときは、目を覚まさせて
ね?

しばらく、とりとめのない話をして、
電話を切った。

今日は、平日で学校に行かないといけない。

やだな、毎日毎日、酷く退屈だ。

もそもそと制服に着替えて、大して荷物も
入ってない鞄を片手に家を出た。


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