一期一会。−1−
テンションがマイナスに落ちつつ、
表情は無のままで教室に向かう。

死にかけのどんよりオーラで歩かれても、
ただの公害だよね。

…そういえば、学校に来るようになって、
変わったことが一つだけあった。

廊下を歩いてたら、タイミングよく、
後ろから声をかけられる。

「おはよー、彩羽」

ろくに授業に出ていないボッチの私のことを名前で呼べるのは今のところ、彼一人
だけ。

仲良いわけでもないけど、
馴れ馴れしいはずの呼び捨てが
全然違和感なくて、逆に怖い。

『…白樺君』

そう、彼だ。

隣へヒョコッと並んだのは、同じクラスの
白樺君。

人懐こい彼は、塩対応で冷たい私にも
全くもって臆さずに笑顔を浮かべて
関わってくる強物だ。

…ほんと、解せないなぁ。

メンタルどうなってんだか…って、
これ別の人にも思ったことある気がする
んだけど、デジャヴ?


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