一期一会。−1−
粘り強く付き纏う白樺君を、とうとう無視できずに一言返した。

あぁ、もう、めんどいのに。

『名前、何だっけ』

返したのは、それだけ。

「え、覚えてない?」

『………』

学校に再び来るようになった私は、
ほぼ他人の話を右から左へと聞き流して
いた。

人の話聞くの苦手なんだよね、
ソウ君以外。

かなり色々と筒抜けたと思う。

授業も、話しかけられる言葉も、
…無論、白樺君の自己紹介も。

ー「オレ、白樺ー…」

あ、だめだ、続きが思い出せない。

捻り出せるほど、ぼんやりとも残っていなくて救いようもなく。

ザルだな…。

ガーンと口に出して傷ついている白樺君に
気まずさしかなかった。

これは、最低!外道!って罵られても
文句が言えない。

でも、なんと白樺君は気を悪くせずに
ニコリと微笑んだ!


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