一期一会。−1−
「頼人だよ、ライト。
 よろしくね」

神か、仏か…天使って強ち嘘じゃないかも。

桃李さんとはまた違ったレベルだ。

教室に入る手前、よろしくね、の後に
綺麗なウィンクをして、中に入っていった。

そんな頼人に、私は数秒呆けていた。

…ウィンクって、あんなカッコよくできる
んだ。

どうでもいいところに、関心がいった。

今度から、頼人のこと王子って呼ぼう
かな…。

(後日、本当にそう呼んだら懇切丁寧に
 叱られた)

授業やホームルームが終わって、いよいよ
下校のとき。

私は喜々として帰る準備をしていた。

やっと帰れる…早く帰ろ。

教室内には、すでに人が残っていなくて
私と頼人だけだった。

いや、皆帰るの早すぎません?!

ホームルームが終わってから
いつそんな準備したの、ってくらい
瞬速で教室を出ていったけど!

最近の学生って、要領いいんだなぁ。


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