一期一会。−1−
桃李さんの手を解いて、ウサギの人形を
片手に落とし物センターへ向かう。

すぐに戻ってくるので、ご心配なく!

ウサギの人形に、『待っててね、すぐに
届けるから』と心の中で呼び掛ける。

走り回ること数分で、辿り着いた。

『あ、あの…』

ウサギの人形を持って、受付に歩み寄った
その時。

「すいません、ここにウサギの人形
 が届いていませんか」

ー…え。

隣からフワッと香水のいい香りがして。

一足早く、先を越されてしまった。

痛みを知らない金髪に、垂れ目が印象的な
甘いマスクをもつ、モデルみたいなスタイルをした男。

同年代に見えるけど…。

って、う、うさぎ?

その男によって特徴があげられた。

「ピンクで手のひらサイズのキーホルダー
 なんですけど」

『!!』

それ、間違いなく、これだ!

私が持ってるやつじゃない?!

困ったように説明している彼に、受付の
お姉さんは顔を赤くして、《知らない》と
首を振っている。

い、イケメン…またイケメンか。

二度あることは三度あるというが…。

そんなまさかね?


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