一期一会。−1−
盗んだと思われるかもしれない。

偶然なんて、ありえないよね…。

よく考えればわかることなのに、
私は馬鹿か。

ビクビクして、顔を見れずにいたら、
イケメンさんは、「ありがとう」と頬を
緩めて、ウサギの人形を受け取った。

「…大切なものなんだ、届けてくれて
 嬉しいよ」

優しく手のひらにのせると、愛おしそうに
見つめているのを見て、ホッとした。

「あ、拾ってくれたお礼に何かするよ。

 好きなお菓子とかある?」

お、お礼?

ニコニコしながら、そう言うイケメンさんに私は驚いた。

なんと恐れ多い…。

『えっ、いや、いいですよ! 

 連れも待たせているので…』

ブンブンと首を横に振って遠慮したら、
イケメンさんは残念そうに眉を下げる。

諦めてくれるかと思いきや。

「そっか、それは残念…。

 じゃ、連絡先教えてよ、今度改めて
 お礼する」

引く素振りが見えないし、むしろ食い下げられてる?

『え、え…?』


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