一期一会。−1−
「ちなみに俺は来宮時雨、翡翠高のー…
「彩羽ちゃん!」」

言いかけて、遮られた。

…今、何て言いかけた、この人?

『…あ、氷室さん達』

後ろには、例の三人。

「何してんだよ、時雨」

氷室さんが、私の方へ駆け寄り、
自分の方へ引き寄せて、イケメンさんを
睨みつける。

…え、知り合い?

…っていうよりは、天敵っぽい?

イケメンさんは、私と氷室さんと桃李さんと白鷺さんを見て、「へぇ」とやけに
楽しそうに口元を歪めた。

「何って、その子に大切なもの拾って
 もらっただけなんだけど」

クスッと優雅に笑うイケメンさんは、
「何か悪い?」と氷室さんに向けて、
悪意のある棘のこもった言い方で
すげなく返す。 

な、何…?この二人仲悪いの?

会ってそうそう、修羅場の開幕か。

イケメンさんの優しい雰囲気が氷室さん
には一切向けられておらず、氷室さんは
氷室さんで、敵意むき出しだし。


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