一期一会。−1−
どうしようもなくむしゃくしゃした俺は、
それまでする気も起きなかった女遊びを
始めた。

高校に入って、葵と別れてからも堕落した毎日は変わらなかった。

愛は、時折悲しげにしているが、最近では
大分明るい表情も増えた。

そんな、過去話から、今に至るけど。

俺達を傷つけたアイツは、のうのうと、
彩羽という女を溺愛し、新しい仲間と
楽しそうに過ごしている。

…ふざけんなよ、一人だけ幸せになろうとか。

裏切っといて、何様なんだ。

許さない…絶対に。

ー「…良かったです」

…正直、直接関係ないあの子を巻き込むのは理不尽極まりないけど。

…それも、仕方のないことだよね。

…恨むなら、葵に、ね。

「しーくんっ、ウサギの人形見つかったっ
 てほんと!?」

…一気に、その声で現実に呼び戻された気がした。

家に帰ると、門前に愛がスマホを持って
立っていた。

俺の姿を見るなり、駆け寄ってきて。


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