一期一会。−1−
13【俺にしとけよ】:由宇side
彩羽を引き連れて、気付いたらあの日
出会った階段のところに来ていた。
夕焼けが街を飲み込む景色が広がっていて。
「…ここ」
『覚えてるだろ』
「…うん」
ぼんやりと夕日を眺める彩羽の横顔を
見ていた。
泣いたあとがうっすら残る頬が痛ましい。
…まぁ、普通に好きなやつが目の前で
キスされてたらショックだよな。
彩羽には、葵が好きだという自覚はない
らしいけど。
俺は、落ち込んでいようが、弱っていようが、手を抜く気は微塵もない。
むしろ、つけこむチャンスだと思う。
恋って、そんなもんだろ?
『泣けば』
泣きそうで、泣かない彩羽に軽く言う。
「…え?」
『辛いときは、思いっ切り泣くんだよ。
んで、笑っとけ』
あの女と時雨は、単に葵に復讐という名の
八つ当たりをしたいだけ。
そのうち解決されるであろうトラブルの
一つに過ぎない。
…でも、巻き込まれて傷ついた彩羽の心は
誰にも治せないだろう。
出会った階段のところに来ていた。
夕焼けが街を飲み込む景色が広がっていて。
「…ここ」
『覚えてるだろ』
「…うん」
ぼんやりと夕日を眺める彩羽の横顔を
見ていた。
泣いたあとがうっすら残る頬が痛ましい。
…まぁ、普通に好きなやつが目の前で
キスされてたらショックだよな。
彩羽には、葵が好きだという自覚はない
らしいけど。
俺は、落ち込んでいようが、弱っていようが、手を抜く気は微塵もない。
むしろ、つけこむチャンスだと思う。
恋って、そんなもんだろ?
『泣けば』
泣きそうで、泣かない彩羽に軽く言う。
「…え?」
『辛いときは、思いっ切り泣くんだよ。
んで、笑っとけ』
あの女と時雨は、単に葵に復讐という名の
八つ当たりをしたいだけ。
そのうち解決されるであろうトラブルの
一つに過ぎない。
…でも、巻き込まれて傷ついた彩羽の心は
誰にも治せないだろう。