一期一会。−1−
明かされた、悲しい過去。
彩羽は、家族に捨てられ、日下さんと再会するまで施設で育ったらしい。
聞くだけで、胸が痛かった。
…この人も、辛いことがあって、
そうせざるをえなかったんだろう。
彩羽を苦しめて、傷つけたことを本気で
後悔している姿を見て、俺は何を
言うべきか悩んだ。
…だけど、伝えないといけないことがある。
『…彩羽は、きっと貴方のことを
嫌いませんよ』
沢山、今まで辛かっただろう彩羽は、
日下さんが組長だということを知って
ショックを受けていたけど、
それでもなお、真っ直ぐに、
日下さんのことを信じていた。
毅然としていた。
『…だから、いつか、ちゃんと
教えてあげてください』
それで、“今までよく頑張ったね”って
褒めてあげてほしい。
…だって、彩羽はきっと、今も兄の迎えを
待っているはずだから。
時々、彩羽が寂しそうなのはそういうことか。
ようやく、わかった。
俺の言葉に日下さんは目を見開いて、
「ありがとう」と切なげに笑った。
それから、車に戻った日下さん。
去っていく車を、哀しく見つめた。
彩羽は、家族に捨てられ、日下さんと再会するまで施設で育ったらしい。
聞くだけで、胸が痛かった。
…この人も、辛いことがあって、
そうせざるをえなかったんだろう。
彩羽を苦しめて、傷つけたことを本気で
後悔している姿を見て、俺は何を
言うべきか悩んだ。
…だけど、伝えないといけないことがある。
『…彩羽は、きっと貴方のことを
嫌いませんよ』
沢山、今まで辛かっただろう彩羽は、
日下さんが組長だということを知って
ショックを受けていたけど、
それでもなお、真っ直ぐに、
日下さんのことを信じていた。
毅然としていた。
『…だから、いつか、ちゃんと
教えてあげてください』
それで、“今までよく頑張ったね”って
褒めてあげてほしい。
…だって、彩羽はきっと、今も兄の迎えを
待っているはずだから。
時々、彩羽が寂しそうなのはそういうことか。
ようやく、わかった。
俺の言葉に日下さんは目を見開いて、
「ありがとう」と切なげに笑った。
それから、車に戻った日下さん。
去っていく車を、哀しく見つめた。