一期一会。−1−
ソウ君は厳しい口調を緩めて、
そっと語りかけてくる。

「彩羽には、俺がいる。

 だから、安心して沢山挑戦しろよ。

 失敗したって、慰めてやるから。
 
 …勇気を出せ」

…あぁ、やっぱりソウ君には敵わない。

今も、多分この先も、敵うことはないんだろうな。

ソウ君は、私の弱さも辛さも、全部
分かってるから、背中の押し方も上手
すぎ。

温かくて優しいソウ君に、私はいつも
救われている。

そんなの、もう、頷くしかないじゃんか。

『…わかった、やってみる』

しぶしぶ肯定した私に、ソウ君は満足そう
に、「そうか」と言ったあと、最後に
「頑張れよ」と謎のエールを送って、
電話を切った。

通話終了の画面を、?を浮かべて見つめて
いた。

…何、“頑張れよ”って。

何を頑張れって言うのさ。

そんな疑問を残しながら、私は仕方なく
制服に着替えて、こうして登校している。

…はぁ、全く、ソウ君の口車にまんまと
乗せられちゃったよ。

こうなったら、もう学校へ大人しく行く
しかない。


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