一期一会。−1−
氷室さんの、言葉に数秒間を空けて、

『…はい』

と、何とかうなずいた。

ソウ君=神様の方程式は、どうあがいても
覆せる気がしない。

最早ここまで来たら宗教か何かだと思う。

尊敬というか、崇拝というか…。

すると、氷室さんはホッとしたように
頬を緩ませていて。

「よかった。
 でも…ほんと、壮太さんには敵わない   よ。

『え?』  

 今日突然、早朝に君のこと紹介するって
 電話かけてきて、Dragを君の住んでいる
 地域にバラまいたからとか
 言い出して。
 人よけまでして舞台作って。

『は?』

 その上、登校中の君を守れって
 命令して電話切るし、

『………』

 無茶だよね、でも、何か起こる前に
 間に合ってよかった」

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