一期一会。−1−
本気で胸を撫で下ろしている氷室さんが
急にかわいそうに思えてきた。

ソウ君は、やってること犯罪みたいだけど
大丈夫そう?!

私と氷室さんが会うために街動かすとか、
Drag撒き散らすとか、
思考回路どうなってるの?

茶番が過ぎますよ?

馬鹿なの?一周回って天才なの?天災?

馬鹿は天才と紙一重っていうけど
実証しないでくれるかな?

スケール大きいだけじゃなく、危険しか
ないよね?!

…そして、氷室さんもソウ君の無茶ぶりに
負けないで、私のことを探し出したん
でしょ?

なんか、GPSも怖ければ、その執着心が
怖いわ。

流石、従兄弟同士、ヤバイ奴らだ。

「…でも、本当に中学生なんだ」

氷室さんは、ジロジロと興味深そうに
私を見定めていて、何故か危機感を
感じた。

なんていうか、視線が痛いし、
普通の目ではない気がする。

良からぬ気配!

『…な、なんですか』

ビビるな表の私!

それでも、“王蝶”か!

たじろぐ私を面白がってるようにさえ
見えてくる。

やっぱり、この人…危ない?

口元に手を添えて、色気を漂わせながら
私に近付いてくる。

「思ってたより、ずっとかわいくて、
 大人っぽいなぁって」

く、口説いてる?!

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