一期一会。−1−
ソウ君には、言えないけど。

私にとって、一番のヒーローは、
ソウ君だよ。

たとえ、誰が私につこうと、ソウ君は
私のヒーロー。

それは、きっと、あの時から。

ー「わかった、俺がお前の師匠になって
  やる」

こんな時、いつも思うんだ。

…ソウ君が、私の本当のお兄ちゃん
だったら良かったのになって。

もしも、そうだったら…きっとずっと、
幸せなままでいられたんじゃないかな、
って。

傷つくことも、泣くことも、絶望することも、なかったんじゃないかな、って。

たまに、思ってしまうんだよ。

…もう、とっくに過ぎた話なんだけど。

夢のまた、夢の話。

「王蝶?

 どうかしたか?」

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