一期一会。−1−
この前、朝に対面したときも、俺、
彩羽ちゃんにめちゃくちゃ警戒されてた
もんな。

今も心做しか、猫みたく毛を逆立て
られてる気がするし。

『急にごめんね。

 校門の前は流石に不味いからここで
 待ってたんだけど。

 よく考えたら、夜よりも昼間の方が
 危ないのかもって思ったんだ』

割と、もっともらしい口実でしょ?

変装がないと彩羽ちゃんは喧嘩できないし、Dragのときみたいに人質にされる
可能性が高い。

事実といえばそう。

でも、本当は俺が彩羽ちゃんに
会いたかったっていう下心とエゴ。

…いや、中学生相手に良くないかなとも
思ったんだけどさ。

葛藤も、葛藤らしくなく、すぐに打ち破られた。

それほどに、恋ってものは恐ろしい。

…だけど、彩羽ちゃんがかわいすぎて、
好きになってしまったから、もう遅いんだ。

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