一期一会。−1−
「…“王蝶”とか、関係ないよ。

 俺は彩羽ちゃんが大切だから、
 守りたいんだよ」

ニコッと微笑んで、精一杯に伝えた。

こんなこといきなり言ったら、気持ち悪い
かな?

でも、本当の気持ちなんだ。

これだけがせめて、伝わってくれたら
いい。

彩羽ちゃんは、俺の言葉に、目を僅かに
見開いて、驚いたように俺を見上げて
いた。

また、引かれちゃったかな?

そんな杞憂をよそに、彩羽ちゃんは
ほんの少し瞳を揺らしていて。

その口が、小さく動いた気がした。

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