ヒロイン覚醒要員である黒幕お父様の暴走を阻止します 〜死なないために愛嬌を振りまいていたら、不器用な愛情過多がとまりません〜
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その後、ルナキュラスの花畑を存分に堪能した私は、お土産の花を手にして馬車に乗り込んだ。
敷地用なのに豪華で立派な馬車の中には、私とクリストファー、ルザークとリューカスさんが座っている。
隣にルザーク、正面にクリストファー、斜め前にリューカスさんといった席順。
(本当に、本当に綺麗だったなぁ。帰ったらサルヴァにも見せよう)
摘んだルナキュラスの花は二つ。サルヴァドールとシェリーのものだ。
そして今回のことで、自分の心情の変化をはっきりと感じることができた。
(クリストファーが生きのびるための方法。愛嬌振りまき作戦も結構続いているし、そろそろ何か別のステップとかないのかな)
とりあえずサルヴァドールは、心に隙を作れと言っていたけれど。
最近のクリストファーを見ていると、随分と私に影響されているんじゃないかと思ってしまう。
(さっきの花畑でも、あんな顔をしてたし……)
思い返しながらぼんやりとクリストファーに目を向けたとき、不意に鼻がむずむずと痒くなる。
「ひっくしゅんっ」
馬車の中ということもあって抑え込もうとしたものの、努力も虚しく小さなくしゃみが出てしまう。
三人の視線がすぐこちらに向けられた。