ヒロイン覚醒要員である黒幕お父様の暴走を阻止します 〜死なないために愛嬌を振りまいていたら、不器用な愛情過多がとまりません〜
「お嬢様、どうなさいましたか? ご気分が優れませんか?」
姿見の前でバタンと倒れると、メイドのシェリーが私の様子を見にやってくる。
「ううん、なんにも。ちょっと転がってみただけー」
絨毯に仰向けになって意味もなくコロコロと転がる。
とりあえず笑って元気ですアピールを見せないと。また余計な心配をかけてしまわないように。
1ヶ月前のあのことがあってからというもの、シェリーは私の動向をこれでもかと警戒しながら見守っていた。
そう、1ヶ月前。
私が前世の記憶を思い出すきっかけになった、名付けて雪中ダイブ騒動。
あれは前世の記憶を思い出す前のアリアが、故意に身を投げ出したために起こった事件だった。