ヒロイン覚醒要員である黒幕お父様の暴走を阻止します 〜死なないために愛嬌を振りまいていたら、不器用な愛情過多がとまりません〜





(わあ、天使の血族なんて、さすがヒロイン〜)

 なんて呑気なことを考えている場合じゃない。

 この「リデルの歌声」には、天使のほかにもう一つ忘れてはいけない重要なワードがあるのだけど。

 それが「悪魔」である。

 この世界には魔力という概念があって、悪魔は濃密で良質な魔力をもつ人間を好んで取り憑こうとする。

 目的は体に宿る魔力を生み出す「核」を食べること。

 ターゲットとなる人間を見つけ出し、取り憑いて契約を交わし、その代償として核を奪おうとする。
 そのため悪魔は、強い人間の核を求めて世界に存在していた。

 悪魔に契約を持ちかけられても絶対に結んではいけない。

「リデルの歌声」の読者ならもちろん知っていることなのだが、物語の世界ではあまり悪魔は認知されていなかった。


(……で、ここからが本題)

 作中で悪魔と契約した犠牲者として注目を浴び、悪魔の恐ろしさを知らしめるために当てられる人物。

 その人こそが、クリストファー・グランツフィル公爵。

 私の義父だということ――!

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