ヒロイン覚醒要員である黒幕お父様の暴走を阻止します 〜死なないために愛嬌を振りまいていたら、不器用な愛情過多がとまりません〜
アリア(私)とクリストファー(義父)
私を産んだお母様と、義父クリストファーは、年の離れた姉弟だった。
そして二人の父親の前公爵は、実の子であるクリストファーを心底憎んでいた。
その理由は、前公爵夫人がクリストファーを出産したときに死んでしまったからだ。
亡くなった最たる原因は、赤子でありながらもクリストファーが強大な魔力を宿していたからだという。その強い魔力に耐えられず前公爵夫人は死んだのだ。
妻を心底愛していた前公爵は、クリストファーに虐待紛いの教育を施していた。
魔力を制御させるために数ヶ月の間、暗い地下牢に監禁したり、前公爵との一体一の訓練では血反吐を吐き身体中の骨を何度も折り、ただ苦痛に耐え忍んだ。
そんなクリストファーを支えてくれたのが、年の離れた姉である私のお母様だった。
お母様だけが、幼く弱りきったクリストファーの心をずっと守ってくれていたのだ。