ヒロイン覚醒要員である黒幕お父様の暴走を阻止します 〜死なないために愛嬌を振りまいていたら、不器用な愛情過多がとまりません〜
おそらく『リデルの歌声』本編では、これもヒーローを特別に魅せるために作られた設定の一つだったのだろう。
(シナリオが進んでヒーローが頭角を現すまでは、もしかしなくてもクリストファーって最強なんじゃ……?)
あくまでもシナリオ通りの場合ではあるけれど。
本当に一章で退場するのかと突っ込みたくなるほど、クリストファーの強キャラ感は半端ない。
(ゲームで登場するクリストファーはもっと廃人っぽかったけど、まだその面影はないし……悪魔と契約を交わしてからが破滅まで一直線って感じなんだろうな)
マイスターの称号を持ってしても、精神に介入されればとんでもないことになってしまう。
(そっか。第一章でクリストファーが亡くなって悪魔の存在や脅威が明るみになり始めるっていうのは、クリストファーがマイスターだったからっていうのもあるのかも)
マイスターだったクリストファーすら悪魔には敗北した。
シナリオ本編では亡くなったあとのクリストファーにそこまで詳しく焦点を当てていなかったけれど、そう考えれば納得がいく。
(二称号持ちのマイスターで、公爵で……)
本当に、ヒロインのリデルを覚醒させ、悪魔の存在を知らしめるための第一の黒幕としては、ふさわしいキャラクターだったのだろう。
(……やだな、やだ。こうしてちゃんと生きてるのに、死んでほしくない)
まるでそれだけのために宛てがわれた存在だとでも言うように、クリストファーに待っている未来は暗い。
改めてと言うべきか、私は悪魔というものの恐ろしさを再確認した。
そして、この時が初めてだった。
自分が死にたくないだけではなく、死んでほしくないと明確に思ったのは。