ヒロイン覚醒要員である黒幕お父様の暴走を阻止します 〜死なないために愛嬌を振りまいていたら、不器用な愛情過多がとまりません〜
「でも、聞いた? 噂なんだけど、アリアお嬢様が公爵様と血が繋がっていないかもしれないって話し」
「ええっ、それって本当なの?」
「別館で働いてる子が言っていたんだけどね。アリアお嬢様がベランダから落ちても全く心配した素振りを見せなかったんですって。普通、自分の子どもなら心配するでしょう。だからそこまで無関心なのは、二人の血が繋がっていないからじゃないかって」
誰に聞かれているとも知らずに、メイド二人の雑談はエスカレートしていく。
そして「血が繋がっていない」辺りから、ルザークの視線が私に移ったのがわかった。
「公爵様を誑かした女が、別の男との間に作った子がアリアお嬢様だって思っている使用人も多いみたいよ」
あのクリストファーが女の人に誑かされるところとか全く想像できないんですけど。
もちろん根も葉もない噂だということは知っているけど、それにしてもお粗末な仮説過ぎてため息が出てしまう。