最愛の義妹へ。 ~あの夏は、君の過去を知らない~
楓太の言葉に溜め息が漏れる。
「…そもそもさ、あの子本当に声が出ないのかな?」
「わざわざそんなウソつかないだろ」
俺が否定しても、楓太は止まらない。
「い~や、わかんないよ。ずっと施設で暮らしてたんでしょ?
引き取ってもらうために、かわいそうな子のふりしてるんじゃない?」
「あの子は、母さんの妹の子供。つまり、俺たちの従妹だ」
「引き取ったっておかしくないだろ」