最愛の義妹へ。 ~あの夏は、君の過去を知らない~
色々あった後、すっかり引きこもり予備軍になっていた私は、体力が全くない。
でも、施設の近所を歩くくらいはしていたので、
そう遠くに行かなければ大丈夫…、だと思いたい。
「それじゃあ行っこか」
涼し気な、花柄のワンピースを着た香織さん。
目元を緩ませて、太陽のように明るく笑う。
その姿はあまりにも眩しくて。
ーー記憶の中の誰かにも、明るい光が差していて、その人の顔を思い出せずにいる瑠々だった。