最愛の義妹へ。 ~あの夏は、君の過去を知らない~
「…なんで喋んないの?」
楓太が、不思議そうに瑠々の顔を覗き込む。
すると、慌てたように母が説明する。
「あぁ、あなたたちに言ってなかったわね。この子は失声症なの」
「すまない、最初に言っとくべきだったな。ゆっくり距離を詰めていってくれ」
「…ふーん、分かった」
楓太はあまり納得してなさそうだったが、それ以上追求することなく引き下がった。
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