最愛の義妹へ。 ~あの夏は、君の過去を知らない~
「ごめんね、瑠々ちゃん。気にしないでね」
「あの子に悪気はないのよ」
瑠々は持っていたバッグからノートを取り出すと何かを書き始めた。
『大丈夫です。気にしてません』
瑠々はノートにそう記した。
今気にすることじゃないと思うが、とても綺麗な字だと思った。
「瑠々ちゃん…。敬語は使わなくていいのよ、家族なんだから」
「まぁまぁ、香織。それも、ゆっくりとね」
父は、母の肩に手を置いて落ち着かせる。
「あなた…。まぁ、それもそうね。
これから時間はたっぷりあるんだし」