22時からはじまる恋物語
いつのまにか赤に変わった信号が、2人の足を止める。
自然な流れで横に並ぶ綺麗な顔立ちに、慣れることができない。
「く、楠木君、授業も報告も完璧だったね」
「そうすか?」
「うん!新人さんって大抵フォローいるんだけど、その必要全然なかったよー。わたしの方が今日はテンパっちゃって...」
っておい。自分から何カミングアウトしてんのさ。
心の中でツッコミを入れた丁度いいタイミングで、信号が青に変わってくれた。
「行きますか」
車のライトに照らされる横顔は、相変わらず息を呑むほど綺麗で。
「...はい」
どうしよう。
やっぱりストール、必要かも。
赤くなった頬を見られない様に、少しだけ顔を横に向けた。