22時からはじまる恋物語
駅につき、お互い定期を通す。
「じゃあ俺、こっちなんで」
同じ駅でもホームは逆だった。
「お疲れ様です」とぺこりとお辞儀をして、そのまま振り返ることなく階段に向かう楠木君。
「楠木君!」
少しだけ振り返った楠木君に、わたしは笑顔で言った。
「お疲れ様。ありがとね!」
クエスチョンマークが頭の上に3つくらい浮かんでそうな表情に笑いながら、わたしは反対側の階段を降りた。
...楠木翔君。
イケメンで、頭良くて、仕事もできて。
ちょっとだけコミュニケーションが苦手そうだけど、でももしかしたら、案外優しい男の子。
スーツも似合うけど、制服も似合う、高校3年生。