#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化
えっと、と誤魔化すように笑う美聖に、友達たちは笑い返してきた。だが、その笑いは、悪意なく美聖の心を抉る。
『美聖はいいよな、内申もいいし教師にも気に入られてるから焦らんでも色々有利だろ』
『そんなの当たり前じゃん。美聖くんはレベチだもん、顔も頭も。いっそ芸能人になっちゃえばいいのにー』
『あーあ、そろそろマジで本腰入れて勉強しねえとなあ』
『オレ進路決まったら即効車の免許取るから卒業旅行行こうぜ』
『お前の運転なんなやだよ。夢叶える前に死ぬわ』
げらげら笑う友達の輪の中で、美聖はひとり取り残されていた。
ゴールデンウィークが明けてから顕著に現れて、周りが卒業したくないと嘆きながらも、微かに未来へ期待を寄せる眼差しを見つけてしまってから、美聖はもうだめだった。